学校の怪談
驚いて立ち上がったところで「水やり終わったよ。付き合ってくれてありがとう」
と、ホースを片付けて雪が近づいてきた。
しかし怜美はなにかが走り差って行った先を見つめたまま動けない。
「そういえば、校舎裏の噂も知ってるよ」
教室へ入ってから雪が思い出したように口にした。
「校舎裏の噂?」
「うん。つい3日ほど前に聞いた噂なんだけどね、校舎裏には二宮金次郎の像が出るんだって」
「二ノ宮金次郎~?」
怜美は思わず疑い深い声を上げてしまった。
二宮金次郎という人はもちろん知っている。
歴史的にも超有名人で、本を読みながら薪を運んだという、とても勤勉な人だ。
だけどこの学校に金次郎の像はない。
5年間も通っているのだから、怜美だってそのくらい知っている。
それなのに雪は真剣な表情をしてうなづいた。
「不思議でしょう? この学校には二宮金次郎の像なんてないのに」
「寝ぼけた人が見間違えたんじゃないの?」
「なにと見間違えたって言うの?」
そう聞かれたら、答えが出ない。
校舎裏にあるのは大きな花壇だけで、銅像は置かれていないからだ。
「誰か、先生とか?」
苦し紛れに返事をすると雪は盛大なため息を吐き出した。
と、ホースを片付けて雪が近づいてきた。
しかし怜美はなにかが走り差って行った先を見つめたまま動けない。
「そういえば、校舎裏の噂も知ってるよ」
教室へ入ってから雪が思い出したように口にした。
「校舎裏の噂?」
「うん。つい3日ほど前に聞いた噂なんだけどね、校舎裏には二宮金次郎の像が出るんだって」
「二ノ宮金次郎~?」
怜美は思わず疑い深い声を上げてしまった。
二宮金次郎という人はもちろん知っている。
歴史的にも超有名人で、本を読みながら薪を運んだという、とても勤勉な人だ。
だけどこの学校に金次郎の像はない。
5年間も通っているのだから、怜美だってそのくらい知っている。
それなのに雪は真剣な表情をしてうなづいた。
「不思議でしょう? この学校には二宮金次郎の像なんてないのに」
「寝ぼけた人が見間違えたんじゃないの?」
「なにと見間違えたって言うの?」
そう聞かれたら、答えが出ない。
校舎裏にあるのは大きな花壇だけで、銅像は置かれていないからだ。
「誰か、先生とか?」
苦し紛れに返事をすると雪は盛大なため息を吐き出した。