学校の怪談
私たち学生がすぐに反応してしまうもの。


それは先生からの呼び出しだった。


別学年の生徒が呼びだされた時だって、つい耳を傾けてしまう。


そして同じクラスの子が呼び出されたりしたときは『なにをしたのぉ?』と、クラスみんなで声をかける。


6年前に亡くなってしまった鈴木くんもきっと、同じ反応を示すはずだった。


放送室の前までやってきた怜美は、放送クラブの男子から借りた鍵でドアを開けた。


中は6畳ほどの広さになっていて、余計な音が立たないように床にはふかふかの絨毯が敷かれている。


入ってみると少しだけ空気が重たく感じられた。


機材の前に置かれている椅子に座り、怜美は少し深呼吸をした。


放送なんてしたことがないからさすがに緊張する。


きっと校内に残っているみんなが耳を傾けるだろう。


一瞬怖気づいてしまいそうになるが、怜美は気を取り直して背筋を伸ばした。


猫田さんのことを手伝うと自分で決めたんだから、これくらいのことしなきゃ。
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