学校の怪談
「ごめんね母さん。僕、カレーを作る約束をしていたのに作れなくて」


「なに言ってんの。浩一には一番助けてもらったよ。もっと沢山遊びたかっただろうに、お母さんこそごめんね」


「僕は大丈夫だよ。だってあっちの世界にはお父さんがいるから」


久しぶりに家族4人集まって泣きながらの家族団らんだ。


それでも怜美はここから離れることができない。


鈴木くんが今ここにいられるのは、怜美の持つ力が関わっているからだ。


「じゃあ、そろそろ行こうか」


1時間ほどした後、鈴木くんが怜美の元へ戻ってきた。


「え? もういいの?」


せっかくの家族団らんだから、怜美の門限ギリギリまで一緒いればいいのに。


そう思ったが、鈴木くんは左右に首を振った。


「家族みんな元気だった。それが知れただけで十分楽しかったよ。それに、かくりよにお父さんを置いてきちゃったしね。お父さん、僕がいないとろくに魚を釣ることもできないんだ」


かくりよでは魚釣りなんかもできるんだ。


怜美は驚きながらも、うなづいた。
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