学校の怪談

用務員さん

あの噂は怜美が入学する前から流れていたものだ。


怜美は放課後になるのを待って校長室に近づいた。


戸をあけようとしたが、さすがにカギがかかっていて開けることができない。


そこで廊下の端に身を寄せて上の窓から歴代の校長たちの絵画を確認した。


ずらりと並ぶ校長の顔は知らないものばかりだ。


それぞれの絵画の下に名前が記載されている。


「犯罪を犯したのは、２番目に飾られている先生だよ」


怜美が言うと隣にいた猫田さんが視線を向けた。


「飯田正志先生ですか、優しそうな人ですね」


ふっくらとした体系に、細い目元。


それだけで笑っているように見える。


しかし、特に変わった様子はないし、桜ちゃんが言っていたような笑い声も聞こえてこない。


そう毎日毎日怪異が起こるわけじゃないか。


諦めて校長室に背を向けようとしたその瞬間だった。


「ハッハッハッハッ！！」


突然男性の笑い声が聞こえてきて怜美はビクリと体を震わせて振り向いた。


しかし、廊下には誰もいない。
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