学校の怪談
そうして2人でやってきたのは校舎裏だった。


猫田さんと出会ってから、なにかとここに用事があるなぁと思いながら怜美は草むしりをしている用務員の先生に声をかけた。


腰をかがめて草むしりをしていた男性用務員さんは顔を上げて怜美を見上げた。


麦藁帽子の下の顔は日焼けしていて、シワが深く刻まれている。


間違いなくこの学校で最年長の先生だ。


「花の観察かな?」


用務員の先生はすぐに顔をクシュクシュにして微笑みかけてくる。


怜美の身長にあわせて中腰で話をしてくれるし、優しい人でホッと胸を撫で下ろした。


「今日は違うんです」


怜美は言いにくそうに口ごもる。


「なんでも質問していいよ。私はこの学校で一番勤務暦が長いからね。知っていることなら、なんでも教えてあげよう」


用務員の先生はそう言いながら花壇の箸に座った。


怜美もその隣に座ると、花壇のブロックがひやりとして感じられた。


「あの、この学校の七不思議について質問なんです」


「七不思議? あぁ、学校にはつきものだねぇ」


用務員の先生は特に驚いた様子も見せない。
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