学校の怪談
☆☆☆

「買出しは僕が行ってくるので大丈夫ですよ」


運動会を数日後に控えた学校内はとてもにぎやかだ。


生徒たちも先生たちも準備に余念がない。


そんなときマジックのインクが切れてしまい、すぐに立ち上がったのは飯田校長だった。


「私が行きますよ」


新米の女性教師がすぐに立ち上がって飯田校長を追いかける。


しかし飯田校長は廊下を出たところで立ち止まり「大丈夫ですから」と、にこやかに返した。


ハッハッハッハッ! と大きな声で笑って大きなお腹を揺らし、1人買出しへ出かける。


他の先生たちが校長は校長の仕事をしてくださいと頼んでも、飯田校長は現場に出て手伝いをしたがった。


そこから見えてくる校長の仕事もあるのだと、持論を述べるときもあった。


校門を出て近くの文房具屋へと歩く校長先生。


その時、「キャア!」と短い悲鳴が聞こえてきて足を止めた。


悲鳴を出所は小さな空き地だ。


それに気がついた飯田校長は重たいからだをゆすって駆けつけた。


そこで目にしたのは、若い男が小学生の少女の服を乱暴に脱がしているところだったのだ。


飯田校長は一瞬頭の中が真っ白になり、「なにしてんだ!」と、怒鳴りながら空き地に足を踏み入れた。


声に驚いた若い男が飯田校長を押しのけるようにして逃げ出す。


飯田校長は男に見向きもせず、女子生徒に駆け寄った。


女子生徒は声をあげて泣いている。


しかし、服の乱れ意外は大丈夫ようだ。


少し安心しながら女子の服の乱れを直しはじめる飯田校長。
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