学校の怪談
窓から校長室へ忍び込んだ怜美は飯田校長の絵画の前に立っていた。


本当にこれが笑ったんだよね?


そう思いながら恐る恐る絵画に手を伸ばし、それを壁から外した。


裏側まで確認してみても、特に変わった様子はない。


「あの、飯田校長聞こえていますか?」


怜美は床に絵画を置いて話しかけた。


しかし、絵画はなんの変化も見せない。


「飯田校長、出てきてください」


2度目の声をかけたとき、絵画の口元が少しがけ歪んだのがわかった。


怜美はハッと息を飲んでその場から飛びずさろうとしたが、どうにか我慢してとどまった。


すると今度は絵の中の目が動き、瞬きを始めたのだ。


「い、飯田校長」


震える声で名前を呼ぶと、絵画は想像以上にスムーズな動きを見せた。


「やぁ、こんにちは!」


片手を挙げてにこやかに挨拶をする飯田校長に怜美は称しぬけしたようにその場に腰を下ろした。


背中にじっとりと汗までかいたのに、全然怖くない。
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