学校の怪談
☆☆☆

「そんなことを繰り返しているうちに、いつの間にか猫又になってしまいました」


過去を話し終えた猫田さんは深くため息を吐き出した。


怜美は野良猫たちに給食の残りのパンをあげながら、猫田さんの話を聞いていた。


家族がバラバラになってしまったとき、どれだけ辛い気持ちになっただろうか。


「じゃあ、猫田さんの心残りって」


「はい。家族に会うことです。でももう、無理だってわかっています」


怜美は困った表情をしているのを見て、猫田さんは早口で言った。


100年も前にいた猫の家族が今生きているとは思えない。


それこそ猫田さんみたいに妖怪にでもなっていないと会うことはできない。


「でも、子孫ならどこかにいるかもしれない」


猫田さんはうつむき、消え入りそうな声で言った。


「え?」


「だって、先生方は兄弟を生徒の家に引き渡すと言っていたんです。保健所に連れて行かれたわけじゃありません」


確かにその通りだ。


それで猫田さんたちの兄弟が結婚して、子孫を残しているかもしれないということだ。


期待は薄いと思うけど、可能性はゼロじゃないかもしれない。


「それなら、調べることができるかもしれない!」


怜美はそう言い、勢い良く立ち上がったのだった。
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