Tear Flowers〜新しい道の始まり〜
「フィオナ、ずっと休憩してないだろうから休憩させに来たんだ。フィオナの好きなチェリータルト持ってきたよ!」

無表情なフィオナとは対照的に、エヴァンはニコニコと笑いながら言う。フィオナは少し強引にリビングに連れて行かれた。そこにはすでにお茶の用意がされている。

「このハーブティー、リラックス効果があるらしいよ」

エヴァンはティーカップに温かいハーブティーを入れ、フィオナの前に置く。フィオナは「ありがとう、いただきます」と小さく言い、ティーカップに口をつける。優美な香りが広がり、フィオナはそっと目を閉じた。

「この前ね、うさぎを使って授業をしたんだ〜」

フィオナは一言も話すことはせず、ただエヴァンの話に耳を傾ける。エヴァンは獣医を目指して大学に通っており、楽しそうに大学でのことを話していた。

面白い話を聞いているというのに、フィオナの顔に笑顔はない。エヴァンだけが笑って話している。普通ならば、話を聞いてないんでしょと言われて怒られるだろう。しかし、エヴァンは怒ることなく頰を赤く染めてフィオナに話すのだ。
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