Tear Flowers〜新しい道の始まり〜
その言葉を聞いて両親二人は「いい子だね」と涙ぐみ、フィオナが「これ使って」とティッシュをすぐに差し出す。そして両親の涙が収まってから、今度はヘレンが口を開いた。

「今度ね、みんなで劇をすることになったの!私、主役をするから緊張してるんだ」

あまり目立ちたがらないヘレンが主役ということに、フィオナたちは少し驚く。母が「どうして主役をしようと思ったの?」と訊ねると、「頑張りたいから!」とヘレンは笑顔で言った。

「みんながいるから私、頑張ろうって思えるの。みんながいてくれるなら、どんなことも怖くない!」

「すごいな、ヘレン!劇を楽しみにしてるよ」

父がヘレンの頭を撫で、ヘレンは嬉しそうに笑う。そしてオーウェンが「姉ちゃんは何かあった?」と話を振り、フィオナはチェスの授業で先生を倒せたことを話す。両親は「すごい!」とフィオナを褒め、オーウェンとヘレンは「チェス教えて!」と目を輝かせた。

刑事二人が両親というカモミール家は、どうしても家族全員が揃う日というのが他の家より少ないだろう。しかし、フィオナは幸せだった。両親はどんな些細なことでも褒めてくれて、愛してくれる。それに可愛い弟と妹もいるからだ。
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