天国と地獄
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今だけ、人として生きたい。


今だけ、願いを叶えて。

"神様"ーーーー、



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「また、明日」





明日は本当に来る?

明日は本当に、君に会える?



もう一度、笑ってくれる?
もう一度、怒ってくれる?



君と過ごせた時間が楽しすぎて
1日があっという間に終わった。



君と歩いた路地。



あのひしゃげた電柱の前に来た。





たくさんの花と、参考書ーー。


これ、俺のだ。



あの日、図書館に向かっていた。
大学生に向けて、志望の学校だって決まっていたから、浮かれてた。



春になったばかりの4月1日。


エイプリルフールに
俺は死んだーーーー。



嘘になれなかったこと。

嘘で終われなかったこと。

彼女から渡されたスマホは、点滅していたーーーー。








『青、死んだとか嘘だよな!
戻って来いよ!』







『エイプリルフールに変な嘘付くなよ。』




『早く起きろよーー、夏になったら海行ったり、そうそう新しく出来るショッピングモールに行こう。
そして、彼女だって欲しいって言ってたじゃん』




そうだよーーーー。


全部、俺がしたかったことだ。


行きたかった海。


楽しみだったショッピングモール。



欲しかった彼女。



それがーーーー彼女を生み出した。



「ーーーーまた、明日。
また、明日逢いに来て」




事故現場だった苦い思い出しかない場所で、"最期の約束"を口にした。


少しだけ、唇が震えた。

泣きそうになっていた。

きっとーー明日で最期。


君と過ごす最期の時だ。



「ーーーまた明日、逢いに行くね」




そう口にして、君は消えていった。










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