天国と地獄
「何年も待たせてしまうかも、知れないよ?」


あと何年か分からない待ち人を
ずっと待ち続ける俺と。


何年もこの異空間で、生と死を振り分ける君。




「うん、先で待ってるな」



これは、約束ーーーー。


君を待つと約束したから。



あの時ーー
君は確かに、俺を引き止めた。

だけど、俺は等に死んでいるんだよ。

引き止めた意味が分からず、首を捻った時ーーーー微かに、彼女は笑った。


優しい笑いではない、悪巧みをした時の様な口元が、やけに目立った。



「花?」





嫌な予感が胸の中に伝わるーーーー。



ドクン。




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