Star of Galaxy
 『親しくなる』っていうのが無くっていいねって鈴音にはうらやましがられたけど、『親しくなりすぎる』って、どうなんだろう。漫画によくある『妹みたいな存在』で終わっちゃうっていうのも、無くはないんだろうな。私も高校を卒業したりして、大学行ったり、社会人になったりして、違う世界が広がったら、弦希くんより違う人を好きになったりすることあるのかな。
「お帰り。どう?美味しかった?デザート」
店に入るとお母さんがニヤっと笑いながら聞いてきた。やっぱり『お昼ご飯』じゃなくて、『デザート』って知ってたんだ。
「美味しかったよ。お母さんも来ればよかったのに」
「お母さんが行ったらお店どうするのよ」
「お父さんがいるじゃん」
「茶美はお父さんがああやって、一日中将棋してるだけって思ってるかもしれないけど」
「思ってるけど」
「お得意様への配達は全部お父さんがやってくれてるのよ。それが売り上げのほとんどなんだから、ちゃんとお父さんを敬わなきゃダメよ」
「わかってますよ」
うちの両親は恋愛結婚だったそう。うちの奥には一応お茶室にしている部屋があってそこで週に1度おじいちゃんが茶道を教えていた時に通っていたのが、若かりし頃のお母さんで、時々顔を合わせるお父さんと付き合うようになったって、聞いたことがある。ちなみに、おじいちゃんとおばあちゃんはおじいちゃんが65歳になった時、
「引退してゆっくり過ごしたい」
って、言って2人して近くのマンションに引っ越しちゃった。だから今ここにはいなくて、週に1度の茶道教室はお母さんが引き継いで教えてて、私も弟も一応生徒。私に至っては、こう見えて免許皆伝なのです。
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