Star of Galaxy

　押田先輩の事を観察してみると、先輩が一人でいる所って、見かけた事が無いような。部活に来るときはいつも同じクラスの男子の先輩と一緒だし。そうやって考えてみると、私と鈴音も学校ではずーっと一緒にいる。よくよく考えてみると、先輩に彼女がいるかどうかも知らないという事実が浮上してきた。鈴音は『いないに決まってる』っていうけど、それは願望であって定かではない。かといって、仲良くなった女子の先輩に聞くのも勇気がいるので聞けないまま。それで鈴音に『先輩に彼女がいるかどうか調べる方法を弦希くんに聞いてみて』って頼まれて。土曜日のお昼、隣の花屋に行くことにした。まぁ、行くって距離でもないけど。
　お父さんたちが将棋している前をサラッと通り過ぎて、花屋に入る。
「こんにちは」
「おう。茶美。どした？」
弦希くんは花束を作っていて、一瞬こっちを見たけど、すぐに花に目を向けて花束づくりを再開させた。
「ちょっと、相談があるんだけど、いい？」
「相談？」
弦希くんが手を止めてこっちを見る。
「ダメ？」
「聞いてみないとわかんないな」
「大したことじゃないんだけど」
「ふ～ん。作業しながらでもいい？」
「うん」
「じゃあ、どうぞ」
再び手を動かし始める弦希くん。