ワケあり女子高生、イケメン生徒会と同居します。
* * *
「ごめーん! ちょうど1年生で埋まっちゃって、空き部屋ないんだよね」
2つ目の女子寮についてすぐ。
私が事情を話すと、出てきた女の子は考える間もなくスパッとそう答えた。
「わ、かりました……ありがとうございます」
私はもはや上手く話せないほど、かなり焦っていた。
ここも満室だなんて……。
私の心の中で不安がどんどん大きく膨らんでいく。
寮、あと一つしかないし、どうしよう!?
これでまた満室って言われたら……。
その先も想像できないほど、私の頭はパンク寸前で。
ーピンポーン。
本日3度目のチャイム。
お願い……!
ーガラガラ。
「はーい!」
中から出て来たのは、これまた制服姿の女の子。
「こんにちは。3年の桜川です。入寮の手続きに来ました」
さっきの寮の子はこう言ったらすぐに「あぁ」と顔を歪めて断られた。
お願い、断らないで……!
私はお辞儀をしながら願いを込めてギューッと目を瞑る。
「すみません、いま寮母さんいなくて……少しここで待っててもらえますか? 先輩呼んできます!」
その答えに私は勢いよく頭を上げた。
一応、満室ではなさそう??
女の子は私に笑顔を向けるなり奥の方へと急ぐ。
まだ確定ではないけど、とりあえずすぐに断られなくて良かった……。
「ふぅ……」
私はゆっくりと深呼吸をしながら、一旦気持ちを落ち着かせる。
ちょうど夕飯時だから、きっと寮母さんはお買い物にでも行ってるんだと思う。
少し待てば帰ってくるかな?
私は一歩玄関から外に出てキョロキョロと辺りを見回した。
……すぐには帰ってこないか。
寮母さんを待つ前に、空き部屋があるかだけでも確認しないと。
それによってこれからの行動が変わってくる。
さっきの子、先輩呼んでくるって言ってたけど……。
「─────そうよ」
?
どこからか聞こえてきた微かな話し声。
声のした方に視線を向けると、玄関近くの部屋の窓が少し開いているのに気づく。
あぁ、あそこの部屋の子たちの話し声か。
一体誰の声かと──────────
「追い返そうよ」
ードクンッ。
……えっ?
恐らく聞き間違えではない不穏な言葉に、私の心は嫌な音を立てる。
私は無意識にその会話の続きを聞こうと聞き耳を立てた。
“追い返そう”って、もしかして……。
「桜川って、あの転校生でしょ?」
「そうそう。生徒会のみんなといた」
“桜川” “転校生”
その子たちが私の事を話しているのは明らかだった。
だけど、一つだけ引っかかる言葉が……。
“生徒会のみんな”?
「生徒会のあの5人を見るのが目の保養だったのにね」
5人……。
私の脳裏に浮かぶ“5人”は、あの“5人”しかいなくて。
「会計の風磨さんカッコイイですよね。いつも甘い香りがしてドキドキします」
「いやぁ、副会長の涼と奈雄輝も負けてないよ。俺様とクールで王道二大巨頭って感じで」
「凛音くんは書記だからいつも自由なんだよね。そーゆーとこも可愛いんだけど」
「私は梅乃くんだな。のんびりな感じなのに生徒会長の時はバシッとしてるとことかギャップ萌えだよ」
やっぱり、その5人なんだ……。
「あーなんか楓くんたちのこと考えてたら、桜川さんのこと思い出してきちゃった」
「ねー? 距離近すぎてすぐ視界に入ってくるし、邪魔だったよねー」
っ!!
やっぱり私、悪目立ちしてたんだ……。
女の子たちの率直な気持ちがグサグサと心に突き刺さってくる。
「それに、第一寮にも来たらしいけど、追い返したって言ってたよ」
「そうそう! その話聞いて第三も門前払いしたって言ってた」
……えっ。
それって、さっきの寮でのこと?
確かに追い返されたけど、空き部屋ないって……。
タラーッと嫌な汗が背中を流れる。
あれ、嘘だったの……?
驚きと戸惑いが隠しきれず、胸がギューッと締めつけられて苦しくなる。
そっか……私、そんなに嫌がられてたんだ……──────────
「ウチも1年生で埋まったって言おっか」
「そうだね」
その結論を聞かずとも、追い返されるのは分かっていた。
ーガチャ。
近くの部屋のドアが開く音と、パタパタと小走りにこちらへ向かう足音。
「待たせてごめんねー! 入寮のことなんだけ、ど……って、あれ?」
その子が玄関につく頃には、私はもう寮を後にしていた。
何を言われるかはもう分かってる。
聞くのが辛いから聞く前に逃げてしまった。
そっか……。
女の子たちによく思われていないのは感じていたけど、いざちゃんと耳にするとキツイなぁ。
展開が急すぎて悲しむ暇もないや。
……というより、悲しんでいる場合じゃないんだよね。
これからどうしよう?
「ごめーん! ちょうど1年生で埋まっちゃって、空き部屋ないんだよね」
2つ目の女子寮についてすぐ。
私が事情を話すと、出てきた女の子は考える間もなくスパッとそう答えた。
「わ、かりました……ありがとうございます」
私はもはや上手く話せないほど、かなり焦っていた。
ここも満室だなんて……。
私の心の中で不安がどんどん大きく膨らんでいく。
寮、あと一つしかないし、どうしよう!?
これでまた満室って言われたら……。
その先も想像できないほど、私の頭はパンク寸前で。
ーピンポーン。
本日3度目のチャイム。
お願い……!
ーガラガラ。
「はーい!」
中から出て来たのは、これまた制服姿の女の子。
「こんにちは。3年の桜川です。入寮の手続きに来ました」
さっきの寮の子はこう言ったらすぐに「あぁ」と顔を歪めて断られた。
お願い、断らないで……!
私はお辞儀をしながら願いを込めてギューッと目を瞑る。
「すみません、いま寮母さんいなくて……少しここで待っててもらえますか? 先輩呼んできます!」
その答えに私は勢いよく頭を上げた。
一応、満室ではなさそう??
女の子は私に笑顔を向けるなり奥の方へと急ぐ。
まだ確定ではないけど、とりあえずすぐに断られなくて良かった……。
「ふぅ……」
私はゆっくりと深呼吸をしながら、一旦気持ちを落ち着かせる。
ちょうど夕飯時だから、きっと寮母さんはお買い物にでも行ってるんだと思う。
少し待てば帰ってくるかな?
私は一歩玄関から外に出てキョロキョロと辺りを見回した。
……すぐには帰ってこないか。
寮母さんを待つ前に、空き部屋があるかだけでも確認しないと。
それによってこれからの行動が変わってくる。
さっきの子、先輩呼んでくるって言ってたけど……。
「─────そうよ」
?
どこからか聞こえてきた微かな話し声。
声のした方に視線を向けると、玄関近くの部屋の窓が少し開いているのに気づく。
あぁ、あそこの部屋の子たちの話し声か。
一体誰の声かと──────────
「追い返そうよ」
ードクンッ。
……えっ?
恐らく聞き間違えではない不穏な言葉に、私の心は嫌な音を立てる。
私は無意識にその会話の続きを聞こうと聞き耳を立てた。
“追い返そう”って、もしかして……。
「桜川って、あの転校生でしょ?」
「そうそう。生徒会のみんなといた」
“桜川” “転校生”
その子たちが私の事を話しているのは明らかだった。
だけど、一つだけ引っかかる言葉が……。
“生徒会のみんな”?
「生徒会のあの5人を見るのが目の保養だったのにね」
5人……。
私の脳裏に浮かぶ“5人”は、あの“5人”しかいなくて。
「会計の風磨さんカッコイイですよね。いつも甘い香りがしてドキドキします」
「いやぁ、副会長の涼と奈雄輝も負けてないよ。俺様とクールで王道二大巨頭って感じで」
「凛音くんは書記だからいつも自由なんだよね。そーゆーとこも可愛いんだけど」
「私は梅乃くんだな。のんびりな感じなのに生徒会長の時はバシッとしてるとことかギャップ萌えだよ」
やっぱり、その5人なんだ……。
「あーなんか楓くんたちのこと考えてたら、桜川さんのこと思い出してきちゃった」
「ねー? 距離近すぎてすぐ視界に入ってくるし、邪魔だったよねー」
っ!!
やっぱり私、悪目立ちしてたんだ……。
女の子たちの率直な気持ちがグサグサと心に突き刺さってくる。
「それに、第一寮にも来たらしいけど、追い返したって言ってたよ」
「そうそう! その話聞いて第三も門前払いしたって言ってた」
……えっ。
それって、さっきの寮でのこと?
確かに追い返されたけど、空き部屋ないって……。
タラーッと嫌な汗が背中を流れる。
あれ、嘘だったの……?
驚きと戸惑いが隠しきれず、胸がギューッと締めつけられて苦しくなる。
そっか……私、そんなに嫌がられてたんだ……──────────
「ウチも1年生で埋まったって言おっか」
「そうだね」
その結論を聞かずとも、追い返されるのは分かっていた。
ーガチャ。
近くの部屋のドアが開く音と、パタパタと小走りにこちらへ向かう足音。
「待たせてごめんねー! 入寮のことなんだけ、ど……って、あれ?」
その子が玄関につく頃には、私はもう寮を後にしていた。
何を言われるかはもう分かってる。
聞くのが辛いから聞く前に逃げてしまった。
そっか……。
女の子たちによく思われていないのは感じていたけど、いざちゃんと耳にするとキツイなぁ。
展開が急すぎて悲しむ暇もないや。
……というより、悲しんでいる場合じゃないんだよね。
これからどうしよう?