ワケあり女子高生、イケメン生徒会と同居します。
「依織くん……」

あーだこーだ騒ぐ草葉先生をはいはいとあしらっていると、突然俺を呼ぶ柔らかい声が聞こえてきて。


「たくさんたくさん、ありがとう」


恋々愛……。

まさか、恋々愛から“ありがとう”をいわれるなんて想像すらしていなかった俺は、一瞬耳を疑った。

……だけど、そう言ってニコッと優しく微笑む恋々愛を見て、幻聴じゃないんだと分かって。

「うん」

そんな恋々愛の笑顔に応えるように、俺はそっと頷き返した。

前の俺なら、恋々愛と別れるなんて耐えられなかっただろう。

……でも今は、心が温かくなったようで、視界が開けたような、そんな感じがする。
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