ワケあり女子高生、イケメン生徒会と同居します。
「はぁ……」

私は近くに見つけた公園のベンチにストンと腰を下ろした。

またホテルに戻るか……。

いや、そんなにお金持ってないから、とりあえず今日は実家に帰る?

急げば何本かは電車残ってるだろうし。

……でも、女子寮に入れないとなるとこの先どこから通えば……。

実家からは交通費が高額すぎるし。

それに毎朝何時に起きないといけないの?

「はぁ……」

もう何度目かも分からないため息をつきながら俯き、そっと地面に視線を向けたその時──────────

ーポツ、ポツ……。

えっ……。

地面がポツ、ポツとゆっくり濡れていく。

まさか……!!

天を仰げば、晴れ渡っていたはずの空は薄暗い雲に覆われていた。

そしていつしか小粒の雨は大粒に変わり、あっという間に辺りはビショビショに。

私が座るベンチは運良く後ろの大きな木が傘となって、私は少し濡れる程度で済んでるけど……。

……今日は、何も上手くいかないや。

ザアァァっと降りしきる雨を見つめながら、私はギュッと自分の体を抱きしめた。

いっぱい歩き回って滲んだ汗が一気に冷えてきた……。

それにこんな天気だから、追い打ちをかけるように孤独感も増して来る。

「…………」

ーザアァァ……。

地面に雨が打ちつける音だけが響く公園。

ツーッと冷たいものが頬を伝う感触に、私はそっと俯いた。

ポタッとこぼれ落ちた涙はスカートにシミを作っていく……。

さらに次から次へと頬を伝っては零れ落ちていく涙。

あぁ……。

ーギュッ。

私は体を抱きしめる手に力を込める。



……帰りたい──────────
< 11 / 1,130 >

この作品をシェア

pagetop