ワケあり女子高生、イケメン生徒会と同居します。
*episode.02* 婚約
①突然の訪問者
♡恋々愛side♡
やっぱり……。
「ねぇ、なんで桜川さん特別寮にいるの?」
「誰狙い?」
こうなることは予想してた。
飛び交うトゲトゲしい言葉から身を守るように、私は体育座りしている手にギュッと力を込める。
特別寮に入った週末が明け、月曜日。
男女が体育館を半分にして授業を受ける、体育の時間。
先生がいるから、女子たちに囲まれることはないだろうと思っていたのに、運悪く今日はクラス対抗のバレー。
他のクラスが目の前で戦っている中、私はクラスメートの女の子たちに囲まれていた。
しかも、私が特別寮に入ったことがもう広まっているようで……。
さっきから質問攻めの嵐。
「生徒会じゃないのにどんな方法使って入寮したのー? ほら、早く言いなよー」
「家がお金持ちとか? お金で特別寮に入れてもらったの?」
「えー、それはゲスすぎる!」
何も答えずに耐えること10分。
梅乃くんに“一緒に暮らそう”って言われたなんて言ったらなんて言われるか。
かと言って、私嘘つくの下手だし……。
何も答えないのが一番。
やむことなく質問が飛び交い、女の子特有の高笑いがこだまする空間。
「ねえ、何か言ったら?」
「…………」
何か言ったらこの空間から解放してくれるのだろうか……。
いや、私が何を言ったところで、きっと納得するまで離れてはくれない。
私を囲む女の子たちは何も言わない私に痺れを切らしたのか、キャッキャと笑っていた顔も鬼の形相に変貌していた。
……怖い。
「ずっと黙ってやり過ごそうって思ってるわけ?」
さっきから一番私を質問攻めしてくる金髪の女の子。
ストレートの真っ直ぐな金髪に、メイクもバッチリしているから眼力がすごい。
「早く白状しちゃいなって」
「そーだよ。涼華を怒らせるとヤバいんだから」
涼華と呼ばれた金髪女子の周りの女の子たちは、私に敵意剥き出しな彼女の姿を見て面白そうにケラケラ笑っている。
こんなの全然楽しくも面白くもないよ……。
金髪女子の胸元には『城本』という刺繍。
“城本 涼華”……それがこの女の子の名前みたい。
「生徒会のみんなを独り占めなんてありえないんだけど。特別寮にまで入寮するとか意味わかんないし」
城本さんの言葉にほかの女の子たちは共感の嵐。
うぅ……ホントに居心地悪い。
早く授業終わらないかな……。
そう思って俯いた、その時──────────
-コツン。
「? なんか当たって……」
城本さんの呟きにふと視線を上げる。
何かが城本さんの背中に当たったらしく、城本さんはそれに反応するように振り向いた。
その瞬間、城本さんをはじめとして周りの誰もがキャッキャと笑っていた口を噤む。
あっ……。