ワケあり女子高生、イケメン生徒会と同居します。
みんなの視線の先には照明でキラキラ輝く銀髪。

彼は私に向かって妖艶に微笑んだ。

葉森くん……。

「ごめんねー、ボールこっちまで来ちゃって」

葉森くんは城本さんの元に転がってきたボールを拾い上げ、城本さんに向けて爽やかに笑う。

「全っ然大丈夫だよ!」

対して、さっきとは打って変わって少し声が高い城本さん。

だけどなんだろう……?

城本さん、なんだか含みがあるような笑み……。

城本さんの態度に多少の違和感は感じるけど、他の女の子たちは葉森くんにうっとり、といった感じで。

やっぱりイケメンってすごいな……。

さっきまでの鬼の形相も嘘のように、笑顔一つで女の子たちをメロメロにさせて。

「みんなで楽しく女子会してるところ悪いんだけど……恋々愛ちゃん、今いい?」

「え?」

私??

突然の問いかけに目をぱちくりさせる私に、葉森くんはニコッと微笑みかけた。

対して、その言葉にくるりと私を振り返った城本さんはキッ私を睨みつける。

うっ……。

「男子の方の手伝いして欲しくてさ! お願いできるかな?」

「……う、うん」

私は恐縮しながらもゆっくりと腰を上げ、俯き気味に城本さんの横を通り過ぎる。

いち早くこの場から離れたい……!

葉森くんは私が近づいてきたことを確認すると、男子のコートの方へと歩き出した。

男子の手伝いとは言えど、すぐそばには先生もいる。

あの場より少しはマシだ─────────

* * *

「あの……葉森くん」

「ん?」

男子がバスケの試合をしているコートの隅で、みんなが脱ぎ捨てたビブスを黙々と畳む私と葉森くん。

「ありがとう」

私が一言そう言うと、葉森くんは一瞬目を大きくして驚いたようだった。

葉森くんが言ってた手伝いとは、ビブスを畳むだけの簡単な仕事で。

葉森くんだけでも十分手が足りるはずなのに、私に頼んだのはきっと私が女の子に囲まれてたからだよね。

「あぁ……お礼なら優羅に言ってあげて」

「え?」

梅乃くん??

思わず手を止めて小首を傾げる私に、葉森くんはニコッと優しい笑みを向けた。

どうして……──────────

「うおー!!!」

ービクッ!

葉森くんに理由を聞こうとしたその瞬間、コートの方から突如聞こえてきた、男の子たちの大きな歓声。

何何何!?

-ダンッダンッダンッダンッ……。

……え? あれって……。

歓声につられてコートの中を見てみると、華麗にボールをさばく一人の赤髪男子に目が止まった。

梅乃くん!?

サッと相手のパスをカットして、ドリブルをしながら相手をかわしていく梅乃くん。

嘘……あのマイペースでいつも眠そうな梅乃くんとは思えない……。

的確に味方にパスを回して相手のマークから逃れると、梅乃くんは味方からのパスを再び受け取った。

ーキュッ。
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