ワケあり女子高生、イケメン生徒会と同居します。
あっ……。

ゴールをまっすぐに見つめる瞳。

その瞳があのまっすぐ目と重なって─────

ードクンッ。

自分に向けられてるわけじゃないのに胸が高鳴った。

ーシュパッ。

ーブーーーー!!!

「うおー!!! 優羅ナイシュー!」

「まじカッコよすぎ!」

梅乃くんの華麗なブザービートとともに試合は終了。

チームメイトのみんなは梅乃くんのもとへ近づいてガシッと肩に手を回したりして大盛り上がりだ。

「優羅、上手いでしょ」

「えっ……あ、うん」

梅乃くんのプレーに思わず見とれていた私は、葉森くんの声掛けにハッと我に返る。

「あの上手さだから涼たちに絶対試合出ろ!って言われて断れなくて……だから俺に『恋々愛のこと気がけて見てて』って」

「えっ?」

思ってもみなかった言葉に、私は目をまん丸にして勢いよく葉森くんを振り返った。

梅乃くんが……?

「まぁそしたら案の定、涼華ちゃんに絡まれててさ」

そう言いながら苦笑いを浮かべる葉森くん。

そっか……だからさっき、お礼なら優羅にって……。

……でも──────────

私の脳裏にずっとある疑問がより強くなる。

“どうして梅乃くんは会って間もない私をこんなにも気にかけてくれるのか”

ただただ優しいだけなのか、それとも……。

私はんーっと小首傾げる。

……やっぱりホントはどこかで会ったことがある、のかな?

* * *

-放課後。

私は部活や生徒会の仕事があるみんなより一足先に帰宅。

ーボフッ。

「はぁ……」

私はブレザーを脱いでハンガーにかけるなり、制服のままふかふかのベッドにダイブ。

やっと一日が終わったよ……。

思い出すのは体育でのこと。

やっぱり女の子だけの空間になると、どうしても質問攻めで……。

今日は葉森くんが助けてくれたからよかったけど、毎回そういうわけにもいかないし。

我慢……するしかないよね。

何かうまい返しがあれば切り抜けられるんだけどなぁ。

ホントのことも言えなければ、嘘もつけない私がいい返しを思いつくはずもなく……。

あぁ、なんかだんだん頭痛くなってきた……。

少し休もう。

私は全てをシャットアウトするように、枕に顔をうずめた──────────

* * *

ーバンッ!

「うぅ……」

思いっきり突き飛ばされた私は、棚に強く体をぶつけた。

背中がジンジンと悲鳴をあげている。

痛い……。

打ちつけた体も、心も──────────

ーグイッ。

膝から崩れ落ちた私に追い打ちをかけるように、私の顔を掴んで自分の方を向かせる“あの人”。
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