ワケあり女子高生、イケメン生徒会と同居します。
怖い……怖い……!!

「おい」

この目、この声……何度目だろう。

涙ぐみながら恐怖で体が震える私。

ドスの効いた低い声、まくし立てるような口調。

怖くて怖くてたまらなくて、私はギュッと目を瞑った。

誰か……誰か助けて──────────!

-コンコン!

「っ!!」

ーバッ!

「はぁ……はぁ……はぁ……」

……夢、か……。

いつの間にか寝ていた私は、全身冷や汗をかいていて、未だに動悸もおさまらないでいた。

私ってば、なに思い出してんだろ……。

「おーい。寝てんのかー?」

ービクッ!

この声……ドアの外にいるのは、楓くん?

私は重だるい体を起こして、ゆっくりとドアに近づいた。

「はい……」

「おぉ、起きてたのか。晩飯できたぞ」

ごはん……?

チラッとそばのデジタル時計を見てみると、時刻は『19:28』。

私、3時間も寝てたんだ……。

「わかった。ありがとう」

「おう。冷める前に早く──────────」

ーピンポーン。

「? 誰だ?」

楓くんの言葉を遮るように鳴ったチャイム。

ドアの外で楓くんの呟きと、玄関に向かう足音がした。

きっと楓くんが玄関に向かったんだ。

こんな時間に誰だろう?

-ガチャ。

「やっほー! おっ、涼じゃん!」

優梨(ゆうり)!? どーしたんだよ急に!」

ゆ、優梨??

ドアの向こうから、女の人と楓くんの楽しそうな声が聞こえてくる。

楓くんの知り合いかな?

「まぁまぁ。とりあえず上がるね!」

羅桜高校の女の子……じゃないか。

家族、とか?

楓くんの足音と小走りな足音が玄関からリビングの方へと向かう。

-ガチャ。

「やっほー!」

「優梨!?」

「ゆーちゃん!!」

「……姉ちゃん」

軽快にリビングのドアを開ける音と優梨と呼ばれる女の人の元気な声。

それにみんなはかなり驚いている様子。

……けどその中で一人、平然とした声で“姉ちゃん”って……。

今の声は──────────

「優羅、久しぶり」

……この人は、梅乃くんのお姉さん?

-カチャ……。

私はゆーっくりとドアを開けて、リビングの様子を伺う。

中の様子を見ることは出来ないけど、リビングのドアが少し開いてたから声はハッキリと聞き取れた。
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