ワケあり女子高生、イケメン生徒会と同居します。
「ゆーちゃん、何しに来たのっ?」
みんなと梅乃くんのお姉さんが一通り久々の挨拶をし終えた頃、林山くんは不思議そうな声でそう尋ねた。
「優羅をね、迎えに来たの」
迎え??
林山くんの言葉に平然と返すお姉さん。
だけど、みんなはお姉さんの声でシンと静まり返ってしまって。
迎えって……明日は火曜日だよね?
優羅くん、何か用事があるのかな?
「優羅、わかってるよね? 明日が何の日か」
「…………」
なんだろう……ドア越しでもヒシヒシと感じるこの緊張感。
「明日って……ゆーくんの誕生日じゃん! お誕生日会するの? 僕も行きたい!」
「どー考えても誕生日会って感じじゃなねーだろ、ばか」
楽しそうにはしゃぐ林山くんを静かに制する楓くんの声。
……なんか、すごく空気が重たい。
梅乃くんも何もしゃべらないし。
「優梨のその感じからすると、いい予感しないんだけど」
葉森くんは何かを察して、困惑している様子。
なんとも言えない沈黙がリビングに流れた。
みんな、心の中で思うことはあるんだろうけど、誰も口には出さなくて。
ただただ、もどかしい空気。
「優羅とは──────────」
?
この低い声は……梓川くん?
重苦しい空気を最初に破ったのは、いままで口を開かなかった梓川くん。
「優羅とは、あとー年過ごせるはずだろ」
???
どういうこと?
一体何の話を……。
私はんーっと頭を捻るけど、わかるはずもなくて。
「もしかして、約束破るつもり?」
葉森くんのため息混じりの呆れたような声。
なんか、今度は雰囲気がピリついてきた……。
「んー? みんな何の話を……あ! ゆーくんパパとのやつ?」
「そのことなら、高校入学前にみんなで説得しに行ったはずだろ」
楓くん、イラついてる……。
ゆーくんパパって、きっと梅乃くんのお父さんのことだよね?
みんなで説得って、なんかただ事じゃないみたいだけど。
みなまで言わなくとも、みんなの中では話が通じているから、私だけ状況が理解できずに取り残されている。
「高校入学前にあんたたちが説得したとおり、優羅の羅桜高校卒業はちゃんと約束されてる。それは変わりない。今回は別件で……優羅、みんなに言ってなかったの?」
「…………」
梅乃くんはお姉さんが来てから、ずっと沈黙を貫いている。
“高校卒業” “説得”
梅乃くんはお父さんから羅桜高校に行くの、反対されてたのかな?
それに高校入学前って、みんな中学生の頃からの付き合いなの?
疑問はたくさん湧いてくるけど、この話題に割って入れる訳もなく。
「別件って? ゆーちゃんのその感じ、絶対いい話じゃないよね?」
林山くんの声はいつもと違って元気がない。
「あんたたちには関係ないの……これは家族の問題──────」
「優梨」
関係ないと突っぱねる言い方だけど、お姉さんの声はなんだか悲しい声で。
葉森くんの優しくなだめる声に、お姉さんはグッと口を噤んだ。
「優梨、俺たちに話してくれないか?」
フェミニストな葉森くんが梅乃くんのお姉さんを優しく落ち着かせてる様子が容易に目に浮かぶ。
“何か梅乃くんにままならないことが起きてる”
そのことだけがよくわかった。
「……明日は──────────」
少しの沈黙の後、お姉さんは「ふぅ」っと小さく息を吐いて、ゆっくりと話し始めた。
みんなと梅乃くんのお姉さんが一通り久々の挨拶をし終えた頃、林山くんは不思議そうな声でそう尋ねた。
「優羅をね、迎えに来たの」
迎え??
林山くんの言葉に平然と返すお姉さん。
だけど、みんなはお姉さんの声でシンと静まり返ってしまって。
迎えって……明日は火曜日だよね?
優羅くん、何か用事があるのかな?
「優羅、わかってるよね? 明日が何の日か」
「…………」
なんだろう……ドア越しでもヒシヒシと感じるこの緊張感。
「明日って……ゆーくんの誕生日じゃん! お誕生日会するの? 僕も行きたい!」
「どー考えても誕生日会って感じじゃなねーだろ、ばか」
楽しそうにはしゃぐ林山くんを静かに制する楓くんの声。
……なんか、すごく空気が重たい。
梅乃くんも何もしゃべらないし。
「優梨のその感じからすると、いい予感しないんだけど」
葉森くんは何かを察して、困惑している様子。
なんとも言えない沈黙がリビングに流れた。
みんな、心の中で思うことはあるんだろうけど、誰も口には出さなくて。
ただただ、もどかしい空気。
「優羅とは──────────」
?
この低い声は……梓川くん?
重苦しい空気を最初に破ったのは、いままで口を開かなかった梓川くん。
「優羅とは、あとー年過ごせるはずだろ」
???
どういうこと?
一体何の話を……。
私はんーっと頭を捻るけど、わかるはずもなくて。
「もしかして、約束破るつもり?」
葉森くんのため息混じりの呆れたような声。
なんか、今度は雰囲気がピリついてきた……。
「んー? みんな何の話を……あ! ゆーくんパパとのやつ?」
「そのことなら、高校入学前にみんなで説得しに行ったはずだろ」
楓くん、イラついてる……。
ゆーくんパパって、きっと梅乃くんのお父さんのことだよね?
みんなで説得って、なんかただ事じゃないみたいだけど。
みなまで言わなくとも、みんなの中では話が通じているから、私だけ状況が理解できずに取り残されている。
「高校入学前にあんたたちが説得したとおり、優羅の羅桜高校卒業はちゃんと約束されてる。それは変わりない。今回は別件で……優羅、みんなに言ってなかったの?」
「…………」
梅乃くんはお姉さんが来てから、ずっと沈黙を貫いている。
“高校卒業” “説得”
梅乃くんはお父さんから羅桜高校に行くの、反対されてたのかな?
それに高校入学前って、みんな中学生の頃からの付き合いなの?
疑問はたくさん湧いてくるけど、この話題に割って入れる訳もなく。
「別件って? ゆーちゃんのその感じ、絶対いい話じゃないよね?」
林山くんの声はいつもと違って元気がない。
「あんたたちには関係ないの……これは家族の問題──────」
「優梨」
関係ないと突っぱねる言い方だけど、お姉さんの声はなんだか悲しい声で。
葉森くんの優しくなだめる声に、お姉さんはグッと口を噤んだ。
「優梨、俺たちに話してくれないか?」
フェミニストな葉森くんが梅乃くんのお姉さんを優しく落ち着かせてる様子が容易に目に浮かぶ。
“何か梅乃くんにままならないことが起きてる”
そのことだけがよくわかった。
「……明日は──────────」
少しの沈黙の後、お姉さんは「ふぅ」っと小さく息を吐いて、ゆっくりと話し始めた。