ワケあり女子高生、イケメン生徒会と同居します。
それだけ言うと、優羅くんは私の手を引いて再び走り出した。

……不思議だ。

優羅くんに手を握られても、全然嫌な気持ちが湧いてこない。

むしろ──────────

ードクンッドクンッ……。

鼓動がどんどん加速して体が火照る。

握られた手が暖かくて優しくて。

このドキドキが優羅くんに伝わりませんように……!!

* * *

私は優羅くんに手を引かれるまま、校庭まで走り抜けた。

ほかのルートから逃げてきたみんなと落合い、全員揃って肩で息をする。

「にしても──────────」

なかなか息切れが収まらない私を横目に、すぐに息が整った楓くん。

「相変わらずだったな、おばさん」

“おばさん”とは、きっと梓川くんのお母さんのことだろう。
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