ワケあり女子高生、イケメン生徒会と同居します。
「恋々愛、男全員ムリだから……姉ちゃんがいると安心すると思う」
お姉さんは梅乃くんの言葉に少し驚いたように目を見開いたけど、すぐに気さくな笑顔で私に笑いかけてくれた。
「心配しないで! こいつらが変なことをしようものなら私がぶっ飛ばしてやるから!」
そう言って腕を曲げ、ニカッと笑うお姉さん。
た、頼りになる……。
* * *
──────────そして現在。
……私、勢いでついてきちゃったけど、梅乃くんの家族のことも、高校入学の時のことも、好きな人のことも……何も知らないんだよね。
こんなんでホイホイ大事な説得についてきて良かったのだろうか……。
「恋々愛、ちゃん?」
……? 私??
聞き慣れない声で呼ばれた自分の名前に、お姉さんの方へ視線を向けると、お姉さんは優しい顔でこちらを見つめていた。
「あっ、はい!」
「恋々愛ちゃんも寝てていいからね?」
恋々愛ちゃん……“も”?
お姉さんの言葉に後部座席を振り返ると、生徒会のみんなはいつの間にか全員スヤスヤと眠りについていた。
早……。
仲良く肩を寄せ合って寝る姿はまるで子どもみたい。
微笑ましいなぁ……。
「仲良いよねー、優羅たち」
私の心を見透かしたかのようにタイミングよくそう投げかけてきた梅乃くんのお姉さん。
「梅乃くんたちは、高校に入学する前からお友達だったんですか?」
私はみんなから視線を外し、さっき気になっていたことをお姉さんに尋ねた。
高校入学を説得ってことは、そういうことだよね?
「そうそう。涼と風磨は中学生からだけど、奈雄輝と凛音は小学生からの付き合い。……まぁでも一番長いのは、日向かな」
日向……どこかで聞いたことあるような名前……。
「知らない? 確か風紀委員長じゃなかったかなー?」
小首を傾げながらそう言ったお姉さんの言葉に、頭の中にパッとー人の男の子が浮かぶ。
「葵くんですか?」
「そうそう! 葵日向」
へぇ……じゃあ生徒会のみんなと葵くんの6人は高校に入る前からの友達なんだ。
思い返せば、葵くんがみんなのことを話す口ぶりも、すごく親しげな感じだったっけ。
「優羅たちがみんなで猛勉強して羅桜高校に全員合格した後にね、うちのお父さんがいきなり『会社を継ぐ人間になるため!』って鶴咲学園への入学を決めたことがあったの」
あ……。
それって、さっきみんなが言ってたやつ?
お姉さんは優しい瞳でみんなの寝顔を見ながら静かに話し始めた。
鶴咲学園って、超有名なエリート学校だよね……。
一流企業の社長や名だたる有名人の子ども、総理大臣の孫まで通っていると言われる大学付属の高校。
そんなところへ入学を“決める”って、梅乃くんのお父さん、どれだけ大きな権力を持ってるんだろう……。
……考えただけで恐れ多い。
「そのときね、それはもうみんなで猛説得してさ。優羅は無事、みんなと一緒に羅桜高校に進学することが出来た。……まぁ卒業後は鶴咲学園大学に進学するっていう条件付きなんだけどね」
そんなことがあったんだ……。
梅乃くんのために、みんなで必死にお父さんを説得して。
梅乃くんたちの絆ってホントにすごいんだなぁ。
「梅乃くんは、幸せ者ですね」
お姉さんは梅乃くんの言葉に少し驚いたように目を見開いたけど、すぐに気さくな笑顔で私に笑いかけてくれた。
「心配しないで! こいつらが変なことをしようものなら私がぶっ飛ばしてやるから!」
そう言って腕を曲げ、ニカッと笑うお姉さん。
た、頼りになる……。
* * *
──────────そして現在。
……私、勢いでついてきちゃったけど、梅乃くんの家族のことも、高校入学の時のことも、好きな人のことも……何も知らないんだよね。
こんなんでホイホイ大事な説得についてきて良かったのだろうか……。
「恋々愛、ちゃん?」
……? 私??
聞き慣れない声で呼ばれた自分の名前に、お姉さんの方へ視線を向けると、お姉さんは優しい顔でこちらを見つめていた。
「あっ、はい!」
「恋々愛ちゃんも寝てていいからね?」
恋々愛ちゃん……“も”?
お姉さんの言葉に後部座席を振り返ると、生徒会のみんなはいつの間にか全員スヤスヤと眠りについていた。
早……。
仲良く肩を寄せ合って寝る姿はまるで子どもみたい。
微笑ましいなぁ……。
「仲良いよねー、優羅たち」
私の心を見透かしたかのようにタイミングよくそう投げかけてきた梅乃くんのお姉さん。
「梅乃くんたちは、高校に入学する前からお友達だったんですか?」
私はみんなから視線を外し、さっき気になっていたことをお姉さんに尋ねた。
高校入学を説得ってことは、そういうことだよね?
「そうそう。涼と風磨は中学生からだけど、奈雄輝と凛音は小学生からの付き合い。……まぁでも一番長いのは、日向かな」
日向……どこかで聞いたことあるような名前……。
「知らない? 確か風紀委員長じゃなかったかなー?」
小首を傾げながらそう言ったお姉さんの言葉に、頭の中にパッとー人の男の子が浮かぶ。
「葵くんですか?」
「そうそう! 葵日向」
へぇ……じゃあ生徒会のみんなと葵くんの6人は高校に入る前からの友達なんだ。
思い返せば、葵くんがみんなのことを話す口ぶりも、すごく親しげな感じだったっけ。
「優羅たちがみんなで猛勉強して羅桜高校に全員合格した後にね、うちのお父さんがいきなり『会社を継ぐ人間になるため!』って鶴咲学園への入学を決めたことがあったの」
あ……。
それって、さっきみんなが言ってたやつ?
お姉さんは優しい瞳でみんなの寝顔を見ながら静かに話し始めた。
鶴咲学園って、超有名なエリート学校だよね……。
一流企業の社長や名だたる有名人の子ども、総理大臣の孫まで通っていると言われる大学付属の高校。
そんなところへ入学を“決める”って、梅乃くんのお父さん、どれだけ大きな権力を持ってるんだろう……。
……考えただけで恐れ多い。
「そのときね、それはもうみんなで猛説得してさ。優羅は無事、みんなと一緒に羅桜高校に進学することが出来た。……まぁ卒業後は鶴咲学園大学に進学するっていう条件付きなんだけどね」
そんなことがあったんだ……。
梅乃くんのために、みんなで必死にお父さんを説得して。
梅乃くんたちの絆ってホントにすごいんだなぁ。
「梅乃くんは、幸せ者ですね」