ワケあり女子高生、イケメン生徒会と同居します。
「うん……!」

そっと踵を返す梓川くんの後を、私は遅れないように追いかける。

校内を二人で歩きながら、目の前の大きな背中から伝わってくるのはピリピリとした空気……。

梓川くんに悪いことしちゃったな……。

盗み聞きなんて、気分悪いよね?

私は心の中で深いため息をつきながら、思わず俯きかけた、その時──────────

「悪い。早かったな」

大きな背中がピタっと止まった。

「へっ?」

ゆっくり私の方を振り返った梓川くんは、申し訳なさそうに目を伏せていて。

「あ、ちがっ……私が遅いだけで……!」

落ち込んだと同時に、無意識にペースダウンしちゃってた……。

ただでさえ足が長い梓川くんが私のペースに合わせてくれていたのに。
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