ワケあり女子高生、イケメン生徒会と同居します。
「ほんとだよね」

お姉さんはそう言うと目を細めてニコッと微笑んだ。

この柔らかい笑顔、梅乃くんに似てる……。

思わずその微笑みに見とれてしまいそうになりながらも、私はお姉さんの笑顔に答えるように、ニコッと微笑み返した──────────

* * *

「ほらー、着いたよ! あんたたち早く起きな! 私も早く寝たいんだから」

-カチャ、シュルル……。

シートベルトを外すなり、私はグーっと背伸びを一つ。

お姉さんと梅乃くんたちの話をしていたら、着くのがあっとゆう間だったな。

特別寮に住むことになった経緯をこと細かくお姉さんに質問攻めされて……。

それでも体育の時の質問攻めに比べたらどうってことない。

背伸びを終えて体を元に戻すと、チラッと車のデジタル時計が目に入った。

『23:38』

もうすぐ日付が変わる。

梅乃くんの誕生日だ。

「んー! 早く寝よ……ふぁあ」

同じく伸びをしながら目を擦り、大きなアクビをする林山くん。

みんな眠そう……私ももう眠いな。

-ガチャ。

車のドアが開くなり、暗闇の外にヒョイっと飛び降りる。

すると目の前には……。

「わぁ……」

おっきい……。

私は目の前の大きな大きな建物を見上げた。

暗くて全貌は見えないけど、月明かりでも分かるのは大豪邸ということ。

……すごすぎる。

こんな豪邸に入れるのなんて、一生で一度きりかもしれない。

……あれ?

でも、この建物……なんだか見覚えが──────────

「恋々愛、おいで」

だけど、それを思い出す前に梅乃くんに呼びかけられ、思い出すのは叶わなかった。

声のした方を振り返れば、いつの間にかみんなもう玄関の方に向かっていて。

置いていかれちゃう……!!

私は遅れないように小走りでみんなの元へと駆けて行く。

車をおりてから少し歩くと、やっと玄関扉が見えてきた。

すごい……お城みたいな頑丈な扉。

周りを見渡せば、お庭にプールに浮世離れした景色ばかり。

こんな家に住んでる人、ほんとにいたんだ。

ポケーっと周りを見渡しながら少し浮き足立っている私。

そんな私に、お姉さんはニコッと微笑みかけると、頑丈なドアノブにそっと手をかけた。

梅乃家(我が家)へようこそ」

-ガチャ……キィィィィ。

わぁ……!!

豪邸の中は外観よりもっとすごくて……。

玄関からつながるロビーはとっても広くて、キラキラした照明と大きな掛時計が印象的だった。

「「「優羅様、お帰りなさいませ」」」

玄関に並んで出迎えてくれたのは、数人のお手伝いさんたち。

車内でお姉さんから聞いた話だと、みなさん梅乃くんが小さい頃から働いているベテランなんだとか。

お手伝いさん……しかも一人、二人じゃない。

まるで漫画の中に入り込んだような光景に思わず私は固まってしまう。
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