ワケあり女子高生、イケメン生徒会と同居します。
そんな彼女にボーッと見とれていると、彼女は不思議そうにキョトンと小首をかしげた。

……あっ!

「私はっ、桜川恋々愛と言います! 梅乃くんのクラスメートで……」

私はそう言いながら慌てて頭を下げる。

名乗るのも忘れて思わず見入っちゃってた……。

「あぁ、優羅さんの……。私は月武(つきたけ)(みやび)と言います」

あ……“月武”って──────────

「優羅さんの……婚約者です」

どこか憂いを帯びた表情でそう付け加えた雅さん。

この人が梅乃くんの婚約者さん……。

どんな人かなんて想像はしてはいなかったけど、こんなに美人な人だとは。

「優羅さんのご友人が数名見えられると聞いていましたが、こんなに可愛らしい女性だとは思っていませんでした」

そう言ってニコッと微笑む雅さん。

笑ったらより可愛らしさが引き立って……。

女の私でも思わず見てれてしまうほど。

「? あの……」

ついついまた見とれてしまっていた私は、雅さんの不思議そうな声にハッと我に返る。

「す、すみませんっ! キレイなお顔なので、つい見とれてしまって……!」

アワアワと取り乱しながら、必死に弁解する私。

あぁ、なんかナンパみたいな返ししちゃった……。

言ったとたんに恥ずかしくなって、私は頭を抱える。

……絶対変な人だと思われる。

「恋々愛さんはくるくる表情が変わって可愛らしいですね」

ふふっと上品に笑う雅さんにさらに恥ずかしさが増す。

私は真っ赤になった顔を隠すようにバッと両手で顔を覆った。

もうやだぁ……。

「ふふっ。……あの、恋々愛さん。もしよろしければ、少しお話しませんか?」

「へっ?」

思ってもみなかった誘いに、私は手で顔を覆ったままバッと顔を上げた。

私と……!?

「あ、わっ、私でよければ……!!」

こんな美少女の頼みをこんな私が断るなんておこがましい……。

雅さんは私の返事に嬉しそうに微笑んだ。

* * *

私は雅さんの客室に招かれ、促されるままにふかふかのソファーに座った。

落ち着かずに目のやり場に戸惑いながらも、最終的には雅さんが優雅に紅茶を入れている姿に目が止まる。

紅茶を入れる姿までキレイだなぁ……。

何をしても優雅に見える。

「恋々愛さんと優羅さんは、クラスメイトというだけの関係なんですか?」

雅さんは紅茶を注ぐ手を止めることなく、その目線も紅茶に向けたまま、私にそう尋ねた。

え!?

私と梅乃くん???

「ほ、ほんとにクラスメイトなだけです! ここについてきたのも成り行きというか、なんと言うか……」

もしかして、私が梅乃くんたちと一緒に来たから、雅さんを不安にさせてしまった?

確かに、普通に考えてクラスメイトってだけで実家に泊まりに来る? ってなるよね。

うぅ……なんて答えるのが正解なんだろう?

「そうなんですか? てっきり、優羅さんの彼女さんなのかと」

「え!? いやいやいやいや! 滅相もないです!!」
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