ワケあり女子高生、イケメン生徒会と同居します。
やっぱり、雅さんにも好きな人がいるんだ。
雅さんの横顔は少し赤くなっていて、“恋する乙女”そのもの。
「幼なじみ、って言うんですかね……家が近くて小学校、中学校と一緒で、高校こそ違いますけど、それなりに……お付き合いもしてて……」
お、お付き合い!?
それって好きな人っていうか彼氏じゃ……。
「そのお付き合いは、いつから?」
「中学1年生の夏から高校3年生のついこの間まで、ですかね」
「じゃ、じゃあ……1、2、3、4……5年!?」
指折り数えた私の驚いた声に、雅さんは照れくさそうに頷いた。
……雅さん、本当にその人のことが好きで、本気で恋してるんだ。
言わずもがな、その表情からヒシヒシと伝わってくる。
そんな大好きな彼氏と別れなきゃいけないなんて……。
「その彼はこのこと……」
「知ってますよ。伝えて別れて来ました」
えっ……。
そりゃ結婚するためには別れなきゃいけないけど……。
5年も付き合った彼氏とこんな形で別れるなんて。
雅さんの切ない恋に胸が苦しくなる。
梅乃くんも雅さんも、大切に想っている人がいるのに……。
「こんな婚約……」
「親の勝手な都合だと、思いますか?」
私の言わんとすることをサラッと口にした雅さん。
私は雅さんを見つめきれなくなって思わず俯いた。
「最近、父の会社の業績は傾いていて、それを打開すべく、私は優羅さんと結婚するんです。いままで私を何不自由無く育ててくれた父を助けるために私ができることは、これだけですから……」
力なく紡がれる雅さんの言葉に、私はもう何も言えなかった。
……少し、気持ちが分かる気がするから。
いままで育ててくれたお父さんがピンチで、自分ができる最大の助けが、政略結婚をして会社を安定させること。
でもそれじゃ、雅さんが犠牲に──────────
ーパンッ。
「長く話しすぎてしまいましたね。明日のこともありますし、もう寝ないと!」
さっきの悲しい雰囲気を払拭するように軽く手を叩き、明るい笑顔を私に向ける雅さん。
時計を見るともう12時半を過ぎていた。
もうこんな時間……。
「……じゃあ、私は部屋に戻りますね」
「ええ。恋々愛さんに話を聞いていただけて、少しスッキリしました! ありがとうございます」
そう言って上品にお辞儀をした雅さん。
「いえいえそんな! 私なんて何の役にも立てなくて……」
私は顔と手をブンブンと横に振り、ペコペコと頭を下げる。
それからお互いに「おやすみなさい」を言い合って、私は雅さんの部屋を後にした。
ーボフッ。
自分の客室に戻り、私はすぐさまふかふかのベッドへダイブ。
……なんか、普通に話しちゃってたけど、雅さんってあの月武ホールディングスのご令嬢なんだよね?
平凡に暮らしてたら会うことも無いような雲の上の存在。
……梅乃くんもそうだけど。
私はうーんっと、大きく伸びをして部屋の明かりを落とした。
雅さんの想い。
梅乃くんの想い。
楓くんたちの想い……。
みんなが幸せになれれば、それが一番なんだけどなぁ……──────────
雅さんの横顔は少し赤くなっていて、“恋する乙女”そのもの。
「幼なじみ、って言うんですかね……家が近くて小学校、中学校と一緒で、高校こそ違いますけど、それなりに……お付き合いもしてて……」
お、お付き合い!?
それって好きな人っていうか彼氏じゃ……。
「そのお付き合いは、いつから?」
「中学1年生の夏から高校3年生のついこの間まで、ですかね」
「じゃ、じゃあ……1、2、3、4……5年!?」
指折り数えた私の驚いた声に、雅さんは照れくさそうに頷いた。
……雅さん、本当にその人のことが好きで、本気で恋してるんだ。
言わずもがな、その表情からヒシヒシと伝わってくる。
そんな大好きな彼氏と別れなきゃいけないなんて……。
「その彼はこのこと……」
「知ってますよ。伝えて別れて来ました」
えっ……。
そりゃ結婚するためには別れなきゃいけないけど……。
5年も付き合った彼氏とこんな形で別れるなんて。
雅さんの切ない恋に胸が苦しくなる。
梅乃くんも雅さんも、大切に想っている人がいるのに……。
「こんな婚約……」
「親の勝手な都合だと、思いますか?」
私の言わんとすることをサラッと口にした雅さん。
私は雅さんを見つめきれなくなって思わず俯いた。
「最近、父の会社の業績は傾いていて、それを打開すべく、私は優羅さんと結婚するんです。いままで私を何不自由無く育ててくれた父を助けるために私ができることは、これだけですから……」
力なく紡がれる雅さんの言葉に、私はもう何も言えなかった。
……少し、気持ちが分かる気がするから。
いままで育ててくれたお父さんがピンチで、自分ができる最大の助けが、政略結婚をして会社を安定させること。
でもそれじゃ、雅さんが犠牲に──────────
ーパンッ。
「長く話しすぎてしまいましたね。明日のこともありますし、もう寝ないと!」
さっきの悲しい雰囲気を払拭するように軽く手を叩き、明るい笑顔を私に向ける雅さん。
時計を見るともう12時半を過ぎていた。
もうこんな時間……。
「……じゃあ、私は部屋に戻りますね」
「ええ。恋々愛さんに話を聞いていただけて、少しスッキリしました! ありがとうございます」
そう言って上品にお辞儀をした雅さん。
「いえいえそんな! 私なんて何の役にも立てなくて……」
私は顔と手をブンブンと横に振り、ペコペコと頭を下げる。
それからお互いに「おやすみなさい」を言い合って、私は雅さんの部屋を後にした。
ーボフッ。
自分の客室に戻り、私はすぐさまふかふかのベッドへダイブ。
……なんか、普通に話しちゃってたけど、雅さんってあの月武ホールディングスのご令嬢なんだよね?
平凡に暮らしてたら会うことも無いような雲の上の存在。
……梅乃くんもそうだけど。
私はうーんっと、大きく伸びをして部屋の明かりを落とした。
雅さんの想い。
梅乃くんの想い。
楓くんたちの想い……。
みんなが幸せになれれば、それが一番なんだけどなぁ……──────────