ワケあり女子高生、イケメン生徒会と同居します。
そんな梓川くんを見て、お母さんは“お兄さんだけを溺愛しようが、どうも思わない子”とレッテルを貼って……。

そして、きっと態度はエスカレートする。

……こんなの、悪循環だよ。

「桜川」

梓川くんは優しい声で私の名前を呼ぶと、私の目の高さまで腰を曲げた。

「どうして……──────────」

その顔は、眉根を寄せて心配そうな表情で。

「どうして、お前が泣くんだ?」

……へ?

泣いてる?

──────────!!!

その言葉を理解したと同時に、私は慌てて自分の顔を手で覆った。

嘘……濡れてる。

私、なんで泣いてるの……?
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