ワケあり女子高生、イケメン生徒会と同居します。
ふっと柔らかく梓川くんの口角が上がる。

しっかりと未来を見据えた、梓川くんの揺るぎない眼差しに、私は目が離せなかった。

「そして、俺は兄貴に一目置かれるような存在になりたい」

梓川くん……。

真剣で真っ直ぐな思いが、痛いほど伝わってくる。

「……まぁ、その考えに至る俺は、まだまだ兄貴の背中追いかけてる弟のままってことなんだけどな」

(かが)んでいた身体を元に戻しながら、ふっと微笑む梓川くん。

「ごめんなさい……そんなことも知らずにあーだこーだ(わめ)いて……」

「桜川は正しいことを言っただけだ。……ありがとう」

その優しい笑顔につられて、気づけば私の頬も緩んでいて。

いつの間にか涙は乾いていた。
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