ワケあり女子高生、イケメン生徒会と同居します。
また心配そうに見つめる桜川の瞳を、俺は真っ直ぐに見つめ返す。

……なのに、心のどこかで“もしかしたら……”なんて、幻想を抱く自分もいる。

「桜川」

「ん?」

すぐに触れられる距離なのに、触れられない。

こんな二人きりの時間がもっとほしい。

……桜川の、特別な人になりたい。

そう思うのに。

言いたい言葉が喉元まで来ているのに、踏ん切りがつかない俺。

ほんと、情けない……。

グッと奥歯をかみ締めて桜川からそっと視線を外そうとした、そのとき──────────

『すごく嬉しいよ』

っ……!
< 719 / 1,130 >

この作品をシェア

pagetop