ワケあり女子高生、イケメン生徒会と同居します。
「優羅くん!」

だんだんと見えなくなっていく優羅くんの後ろ姿。

周りの雑踏にかき消されて、私の声は絶対に届いていなかった。

……はずなのに──────────

「恋々愛!」

お互いのことが見えなくなる刹那、優羅くんとバッチリと視線が絡んだ。

優羅くんが私の名前を呼んだのもわかった。

実際の声は雑踏やオーケストラにかき消されて聞こえなかったけど、確かに私まで届いてきたような気がして……。

だけど、その声も虚しく、優羅くんの姿は一瞬にして見えなくなってしまった──────────

「離して!」

私の抵抗も虚しく、ぐんぐん人混みから離れて人気(ひとけ)の無いところへと引っ張っられていく私の体。
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