瞳の奥
朝起きると体が重たく、思いの外動けない。

横には大好きな彼が私を優しく抱きしめながら寝ていた。

「寝顔見たのいつぶりだろ…」

蓮の髪の毛を撫でていると起きた。

「おはよ。」

「朝だよ?起きないと遅れちゃうよ?」

時間を見たら6:30を過ぎていた。準備してご飯食べて家でないといけない時間になっていた。

「あぁ、大丈夫。俺と麗奈は緊急の事件で今日は出勤出来ないからって連絡してるから。


「緊急の事件?」

「五十嵐蓮警視が、吉岡麗奈警部にわいせつを行った容疑により、吉岡麗奈警部は五十嵐蓮警視を緊急逮捕」

朝から急に蓮が変なことを言い始めた。
何が言いたいんだ?

「朝から何言ってるの?頭おかしくなった?」

私が本気で解らないでいると、いつの間にかベッドの横に置いていた私の警察道具一式を持って来た。

「そこに手錠と鍵入ってるよね?」

そこで、なんとなく蓮の言いたいことを理解した。おそらく私の手で手錠をかけてくれと言うことだろ。
鍵を確認したのは本当の逮捕ではないことを言いたいんだろう。

「こんなんで1日ズル休みして良いのかな…」

「じゃあ、手錠かけた俺を警視庁まで連行するか?」

「嫌!!」

「ふっ、麗奈可愛い。言っとくけど、逮捕後の取り調べで何故こうしたか話すから、だからお願い。」

そう、これは蓮からの警察ごっこのお願い事だった。ただ、子供の時と違うのは全て本物を使うこと。

職権乱用って言うんだよ、これ。でもたぶん言っても聞かないだろうし、蓮のことだから警視総監の父親にも話はしてるはずだから素直に聞き入れるしか無いのだ。
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