瞳の奥
家に着くと、郵便物の不在届が入ってたので宅配BOXから取り出し家に入った。

差出人は無しで、100均の収納ボックス程度の大きさの箱ぐらいで、持ち上げた感覚では重いものでは無いように思う。

開けてみたら、USBが2本入ってるだけだった。
中身を確認する前に、蓮に家に着いたと言う連絡だけいれて、USBの中身を確認した。
一本は動画ファイル、一本は資料ファイルで動画を先に見るようにとテキストファイルが入っていた。

一人暮らしだから家には誰もいないが、防音の部屋とは言え第三者に聞かれたくない内容ではないかと悟った私はイヤホン着けて再生した。

『こんにちは。いや、もしかしたらこんばんはかな?』

映し出されたのは、警視庁で見た時と同じシルエットと声だったので、おそらく今回の殺害に関与している人物だろうと言うことはすぐ理解出来た。

『初めまして、吉岡麗奈さん。私はユグドラシルのボスです。今からこの動画で知る情報はあなただけが知る情報としてください。
警察関係者、もちろん愛しの婚約者、五十嵐蓮にも伝えてはなりません。

まず、ユグドラシルとは何かと思われているでしょう。麗奈さんから見たらユグドラシルと言う組織はテロリスト集団だと思って頂ければ理解しやすいでしょう。

そんなこと聞いたら警察関係者に報告するなとは難しい話ですよね。では、何故誰にも言ってはいけないのかを説明しますね。

まず、私は、五十嵐清隆、五十嵐蓮の2名に強い憎しみを持っており彼等にこれからの制裁つまり殺人をどう思うかどう行動するかをチェックします。

殺人起こすのは、私と同様に彼等に強い憎しみを持っている人を選別しますが、それは私の憎しみではなく仲間達の憎しみです。

憎しみだけ聞くと快楽犯と思われてしまいそうなので補足しますが、憎しみを抱いてる人達は被害者であり、ターゲットにされている人達は過去に罪をおかしています。もちろん、あなたの婚約者である五十嵐蓮もその1人です。

そんな悲しい想いをしている人達で構成されているのがユグドラシルです。

そして、私は吉岡麗奈さん、あなたをユグドラシルの仲間に、それも私の後を継いで欲しいと考えております。

警視庁に送ったもので説明しましたが、遅かれ早かれこの復讐劇は6ヶ月後には終わります。6ヶ月後の未来は明るいものになっているか、暗いものになってるか、どちらでしょうか。

それまでに貴女は、事件を調べ私の元に来て下さい。私の正体が解らなくてもタイムリミットの一週間前には貴女を迎えに行きます。
貴女と直接対面することを約束します。

そこで貴女は答えを出して下さい。我々の仲間になるか、私に冷たい手錠をかけるか。

素敵な答えを聞けることを楽しみにしています。』
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