瞳の奥
私達は、サイバー犯罪対策課までやってきたので、深呼吸して中に入る。
そこはサーバーやら、モニターやらシステムが構築されているような部屋で奥に作業している人がいて、入ってすぐ左側は司令塔の机がある。

「やっぱりここは、落ち着くわね。」

もともと、大学も情報処理系を選考していたので、おじ様よ蓮の我が儘が無ければサイバー犯罪対策課に入っていただろう。

「そうか?あっ、いるぞ。」

逆に蓮は日本一の大学の法学部を主席で卒業するほどの優秀なので、法律や政治・経済には詳しく情報系は苦手らしい。
私と蓮は得意、苦手分野が綺麗に真逆なので、良い意味でバランスは取れているのだろう。

蓮は1人の男性を見つけると、私を抱き寄せてカップル感全開で歩み寄る。

「よっ、笹田。」

笹田と呼ばれた人は、振り返る。

「げっ、蓮…あっ、麗奈ちゃんだ、いらっしゃい。」

「麗奈がお前にお願いしたいって言うから俺も来たんだ。あと、人の妻に手を出されたら困るからな。」

笹田 契(ササダケイ) (29)
警視庁サイバー犯罪課の警部
来年には警視への昇格が決まっているエリートで数々の情報ネットワークの知識を駆使して検挙に貢献しており、常に忙しい方なんだが、どんなに忙しくても私のお願いは最優先でしてくれるので、いつも頼っちゃう。

私に対して凄く優しいのに、部課に対しては厳しいらしいから、ある意味蓮と似てるなと思う。

でも蓮曰く、セクハラするから気を付けろとのこと。

「実は、これの解析をお願いしたくて、、中身は動画データで、ユグドラシルから送られてきた映像です。」

笹田さんにUSBを渡す。

「これの音声や、場所等解りそうな物全て調べて欲しい訳ね。任せなさい。
ユグドラシル案件が終わったらデートしようね、麗奈ちゃん。」

言い終わるのと同時ぐらい、蓮は笹田さんを殴っていた。

「またか。」

「おい、笹田。麗奈は俺の妻だと何度説明したら解る?」

「ちゃんと、解ってるって。
それより、俺を離さないとこのデータ調べられないけど蓮はそれで良いのか?それこそ麗奈ちゃんが悲しむぞ。」

蓮は舌打ちして手を外してあげる。

「解ったら、すぐ連絡よこせよ。」
蓮は私を抱き寄せまままサイ犯課を後にした。
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