瞳の奥
サイ犯に入ると、笹田しかいなかった。

「おっ、来たか。待ってろ。」

俺は麗奈から家で仕事したいと言った時には、既に笹田にも連絡しており、俺と同様仕事用のパソコンを準備するよう連絡していたのだ。

笹田はデスクトップPCと液晶2台を持ってきた。

「最高級なスペックのPCで、リモートで入れるようにセットアップも出来ている。
あとは、一緒だなリモートで入れば、麗奈ちゃんの管理者権限で使えるサーバーは使えるはずだ。」

「ありがとう、助かる。」

「蓮が、俺に礼を言うなんて、パパになると人は変わるのか。なるほどなるほど。
なんで、麗奈ちゃんは、こんな奴を選んだんだ。」

「あーーはいはい。邪魔したな、じゃあ。」

その他、必要なそうなものは持って車に入れ、再び麗奈の家に向かった。

家に着いたと麗奈に連絡入れるが返答がない。
荷物を全ておろして、エレベーターで麗奈の部屋まで上がりインターホン鳴らすが、出ない。

もしかして寝てるのか?
仕方ないから、ほぼ使うことがない合鍵で中に入ると案の定、ソファーで寝ていた。

「麗奈、起きて。ここで寝ると余計体悪くするよ?」

それでも起きる気配が無かったので、麗奈を抱き抱え、ベッドで寝かしてあげた。

そして、リビングに戻り作業出来るように環境を整え始めた。
すると、さっきまで麗奈が座っていたソファーの前の机に資料と見慣れたUSBが置かれていた。

不思議に思い、麗奈には悪いと思いながら
中身を見た。
そこには、警察関係者しか知り得ない資料とユグドラシル目線の見解、さらにユグドラシルの標的としてるターゲットと過去に犯した罪が書かれているものだった。

あとメモファイルもあり、気になったのは『動画でも説明したように』だ。つまり、これと別に動画ファイルのデータもあるわけだ。
探すのは申し訳ないと思いつつ探すと、それはクローゼットから出てきた。

動画を確認したら、麗奈が隠していた理由が解った。そうだ、麗奈はそういう奴なんだ。
例え良い酷いだろうと悪い人だろうと、お願いと言われたら守る子なんだ。

俺は、元にあった場所に戻して、再び麗奈の元へ向かう。

「好きだよ、麗奈。」

頭を撫でて、おでこにキスをする。

麗奈は寝てるにも関わらず、俺の手を掴み、自分の中の頬っぺたにつけた。

「いや、、」

やっぱり可愛い。
もう一度、キスをしてあげる。

「やだ、行かないで、、」
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