瞳の奥
「もちろん、人が多かったから俺たちを見てる一般人かとも思ったが、職業柄なのか
嫌な気配を感じたんだ。
まるで、何か起こそうと、、」

蓮が話している最中に急に大きな揺れと停電が起きた。

「まさか!?」

蓮は直ぐに晃輝くんの元へ行き、私も後ろからついていく。

「晃輝、店の人を避難させろ。あと、インフォメ連絡回線借りるぞ。」

「お、おう。」

晃輝くんは、すぐにお客さんを外へ誘導し始めた。他の飲食店の人も同様に誘導していたが、食事時のためか混雑していて、なかなか前に進めないでいた。

私も晃輝くんの手伝いに入ろうかと動こうとしたら蓮に引っ張られ、気づいたら後ろから抱きしめられる形になっていた。

「繋がった。すみません、13階イタリアンレストランの店長の友人で、警察の物なのですが、現状どうなっているか教えて頂けますでしょうか?」

蓮は説明しながら私にも聞こえるように受話器を傾けてくれた。

「警察の方ですか?申し訳ありません。今こちらで解っていることは、サーバーダウンしたとほぼ同時に停電になりました。
そのため現在は各店舗からの対処に終われている状態です。
また、サーバーダウンしたことにより一部の階ではシャッターが降りていると連絡を受けています。」

「解りました。連絡ある店舗には外に逃げて頂くようお伝え出来ますでしょうか?」

受話器先のインフォメのお姉さんは、解りましたと返事して電話を閉じた。

「蓮、皆に連絡するよ?」
「あぁ、頼む。それから俺から離れるなよ。」

そう言う蓮はいつも以上に震えているような気がした。
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