瞳の奥

ガサ入れ当日

ガサ入れを行う時間は、大臣が出勤する時間。政治家の何人かが出勤してきている時間を考慮して８時に行うことになっている。

手筈通り、機動隊がガサ入れ行う２ヶ所全ての出入口を封じたため行動に出る。

家の前は先頭に三島さん、蓮、麗奈の三人が立っており、後ろには段ボールを抱えて待ってる部下達、数十人程いる状態だ。

ﾋﾟｰﾝﾎﾟﾝ

インターホンを鳴らすと出勤しようとしていた大臣自ら出迎えた。

「警察です。横領及び詐欺容疑で家宅捜査令状が出ています。」

三島さんが警察手帳と令状を見せながら説明する。
当然ながら大臣は納得行かない様子でいた。

「何ですか、朝から。こちらは仕事あるので。」

蓮が補足説明する。
「あなたの職場の方にも我々警察がおり、事情全て話しております。」

三島さんは部下達に合図を送り、家宅捜査が始まった。
三島さん、蓮、私と大臣は家のリビングで説明をしている。
証拠となりそうな物は全て持ち帰るのが目的だが、自宅・職場から次々と出てきたため、職場のチームに重要な物だけこちらに持って来てもらい、大臣に説明をする。

「以上となります。これら全て説明頂けますでしょうか？」

大臣は黙認していた。

「11:27、◯◯大臣、貴方を横領及び詐欺容疑で緊急逮捕します。」

大臣は素直に私の前に来て腕をあげたので手錠をかけ拘束紐を大臣に巻きつける。
三島さんがジャケットで手錠や紐が見えないように隠す。
大臣は反論もせず下を向いたまま三島さんと蓮、隣に私と言った三人体制で連行されるようにワゴン車に乗せ、警視庁へ向かう。