桜が舞い、君に出逢う。
「美緒」

再度、私の名前が呼ばれる。

「何?」

今度はたどたどしくなることなく、

しっかりと返事を返すことが出来た。

「何もされなかった?」

「え、うん…。」

アイツは酷く心配するような声で、

顔を私の方に埋めた。

その時に、花のような

甘ったるい匂いではなく、

清潔感のある石鹸のような

フレッシュな香りがした。
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