桜が舞い、君に出逢う。
1時間目の授業は数学で、

数学の準備をしていると隣から

焦ったような困ったような声が聞こえた。

「どうしたの?」

そう声をかけると、私を見つめる音瀬くんの

顔はやっぱり困ったように目尻を下げていた

「ど、どうしよう…数学の教科書、忘れちゃったみたいなんだ!」

あぁ、何だそんなこと。

「良かったら、私の教科書見る?」

音瀬くんは、酷く驚いた顔をしていた。

そんなに驚くこと?

「あ、ありがとう!でも大丈夫?僕に見せることで飛鳥さんの勉強の邪魔にならないかな?」

「全然大丈夫よ。音瀬くんは気にしなくていいわ。」

「そう?ならお言葉に甘えさせてもらうね!」

音瀬くんはそう言ってふわりと微笑んだ。
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