桜が舞い、君に出逢う。
「音瀬くん。どうしたの?寒いの?」

今は4月。寒いというかちょうどいい

気温だけれど、人によっては寒い人も

いるかもしれない。

「あ、ううん。全然、そんなことないよ。」

最初の頃の勢いはどこに行ったのやら、

怯えた小動物のように言葉を紡ぐのも

精一杯みたいだ。

「じゃあどこか具合が悪いのかしら。」

音瀬くんの額に手を伸ばすと、

パシッと私の手は振り払われた。
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