桜が舞い、君に出逢う。

理由

「俺の家に着いたら、また俺の音を聞いて欲しいんだ。」

「...別にいいけど。」

「あ、ご家族は心配してない!?急に連れてきたから連絡できてないよな。」

「私を心配する人なんてそうそういない」

私の姉妹以外は...

ぶっきらぼうに吐き捨て、スマホを見ると

メッセージが何件も入っていた。

電源をオフにしていたから気が付かなかった

『今日は遅く帰る。連絡遅くなってごめん』

それだけを花陽に送ると、

直ぐに既読が着いた。

『良かったぁ〜!変な人に絡まれてるのかと思った!遅く帰ること、お母さんたちに言っておくけど早く帰ってきてね!』

花陽らしい、私を心配した優しいメッセージ。

どうして彼女は、半分しか血の繋がりのない

私にここまで優しく接してくれるのだろう。

普段あまり会話もしない私に、

優しく微笑んでくれる。

...いや、理由がないのは知ってる。

もしかしたら家族だからという理由かもしれない。

ただ、陽徳花陽という人間はお人好しなだけ
< 223 / 300 >

この作品をシェア

pagetop