桜が舞い、君に出逢う。
2人が戻ってきたら、美緒が私に駆け寄った

(怒られるかな)

「希空、さっきの人って誰?」

...思ってもいない言葉を投げかけられ、

少し考えながら口を開く。

「…同業者。」

悩んでもいい言葉は思いつかず、

謎の言葉を発した。

「ドウギョウシャ?希空何か仕事してた?」

「してない。…先生、怒ってたよ。」

「え?」

美緒は私の言葉が理解できないのか、

頭にはてなマークが浮かんでいる。

「…ホームルーム」

「…あっ」

美緒は思い出したように顔を閃かせて、

そして落ち込んだ。

「ねぇ希空、その同行者の名前教えてよ。」

絶望を紛らわすかのように、

私に質問を投げる。

「やだ。」

「何で?」

美緒を、いや、家族の言葉を否定したのは

久しぶりかもしれない。

「同業者、だから。」

これだけは、譲れないこと。

美緒はまた謎めいた顔していたが、

私の顔を見て何かに納得したようだった。

(何その顔)

そう考えていると美緒の後ろに遊馬久遠が

忍び寄った。
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