桜が舞い、君に出逢う。
一緒に帰っている中で、

那由多は色々な話をしてくれた。

例えば家族と仲直り出来たとか、

これまで以上に楽器に勤しむことが

出来たとか、全部私への感謝だった。

「別に私は何もしてない。行動に移せたのは全部那由多。感謝されることじゃない。」

「そうだとしても!俺は、希空のおかげだと思ってる...ありがとな。」

ふわりと微笑んだ笑顔。

いつもと違う雰囲気に、胸が高鳴った。

(また、まただ。この感情も、この高鳴りも、全部知らない。これは一体、何なの?)

「希空、どうかした?」

那由多の笑顔を見て固まった私を見て、

那由多が顔をのぞき込む。

(いっそ、那由多に聞いたらわかるのかな)

「ねぇ、那由多はさ、親しい人の笑顔を見たら胸が高鳴ったりする?」

「えっ...!うーん、どうだろう。その親しい人って言うのは家族?」

「違う。異性で」

「それは...その人のことが好きなんだよ。」

「!」

つまり私が那由多の笑顔を見て胸が

高鳴るのは...
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