桜が舞い、君に出逢う。
父のせいで、私は5歳の時に

何もかもが壊れた。

感情も、常識も、人間としての考えも。

全て失った。

何もされてもなんとも思わなくて、

そのせいで周りから気持ち悪いと

言われたこともある。

その時に庇ってくれたのが私の姉妹。

花恋が怒って、

花陽は泣きながら殴りにかかって、

美緒は私の背中をさすってくれて、

紬は小さな背中で震えながら私を守った。

自分が言われた訳でもないのに、

家族のために必死になって怒ってくれた皆を

初めて愛しいと思った。

だからこれからも家族を守ろうと努めてきた

もう、必要ないのかな。

もう、私が居なくても大丈夫か。

...過保護な私はもうやめよう。

家族のことで極端に怒るのももうやめよう。

みんなはもう守らなくて大丈夫。

私も、もう大丈夫。

あのトラウマに、負けたりなんかしない。
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