桜が舞い、君に出逢う。
昼休み、那由多の教室へ行こうと席を立つと

廊下にまた人だかりができていた。

(邪魔くさ)

死にたいと思わなくなったとはいえ

性格が悪いのは変わらない。

ニコニコと笑顔のまま避けてくださいと

伝えればサッとそこに道ができた。

「那由多!」

「あ、希空!って、えぇ!?の、希空!?
ホントに希空!?希空だよね!?」

「うん、希空だよ。」

「どどどどうしたのその、なんと言うか、
雰囲気!前までどんよりしてた雨雲だったのに今は晴れだよ快晴だけど!?」

「あはは、私那由多のおかげで変わったんだよ。」

「俺の、おかげ?」

「うん、那由多の音楽のおかげかな。」

「俺の、音楽...そう、そうか。それは、嬉しいな。」

那由多は私に向けてニカッと笑う。

その笑顔に胸が高鳴る。

「希空さえ良ければ今日でも聞かせられるけど。」

「本当!?それなら行くね。那由多のお家はわかるから。何時頃に行けばいい?」

「何時でもいいよ。準備できたらいつでも来て。」

「うん、わかった。ありがとう!」

嬉しくてとびきり微笑むと、

今度は那由多の顔が赤くなった。

「それじゃあまた放課後ね!」

そう言って教室に戻った。
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