桜が舞い、君に出逢う。
その後、高本さんと五十嵐さんからは何もされることはなく、昼休みに入った。

(2人に絡まれる前に、早く教室出なくちゃ)

お弁当を持ってそそくさと中庭に向かうと、

木陰に座る蓮くんがいた。

(ごめんね蓮くん、待った?)

「ううん、待ってないよ。それじゃ食べよっか。」

小さい頃から、蓮くんは私が話していることがわかった。

なんで?って聞いても長い付き合いだからねなんてはぐらかされてしまう。

本当にずっといる姉妹ですら、私の心の中なんて覗けないのに。

「つむ、俺が教室行ったあと、何も無かった?」

蓮くんはいつもこうやって心配してくれる。

小さい頃から人気者だった蓮くんと一緒にいる私は良くも悪くも目立ってしまって、その度に嫌がらせを受けていた。

そのせいで蓮くんは過保護で心配性になっちゃったけど。

(...何も無かったよ、心配してくれてありがとう。)

本当はあったよ、なんて言えたら楽なのに。

でもそうしたら、蓮くんはきっと私とご飯を食べることを辞めてしまう。

そうなったら私は本当の孤独だ。

それだけは、嫌だから。
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