桜が舞い、君に出逢う。
放課後、2人で1緒に帰っているといつもより過保護な蓮くんは紳士的な行動をしてくれた。

絶対車道側を歩いてくれたり、自転車が前を通ると身を呈して守ってくれるし、いつもより倍拍車が買った守り方をしてくれて、嬉しいやら恥ずかしいやらで顔が熱かった。

(蓮くん、今日はありがとう。沢山守ってくれて)

家の前に着いた時、そう告げると蓮くんは驚いた顔をした。

「そんな、お礼を言われることじゃないよ。俺が好きでやってるんだから。」

(それでも、こんなに面倒見てくれる人いないよ。)

「…いっそのこと、俺なしじゃいられないからだにしてあげようか。」

ボソッと、聞こえるか聞こえないかの声量で蓮くんは何かを呟いた。

(…?ごめん蓮くん、今なんて言ってたか聞こえなかった)

「あ、ごめんごめん!こっちの話だから、気にしないで。」

気になるけどなぁ…

あ、あれ

(蓮くん蓮くん、犬がいる!)

「えっ!?嘘、ごめん。俺もう家入るね!」

(うん、また明日)

手を振って、私も家に入る。

蓮くんがさっきすごく急いでお家に帰ったのは蓮くんの極度の動物嫌いにある。

まぁ、蓮くんが動物を嫌いというか、動物が廉くんを嫌いというか、動物が廉くんを見るとどんなに大人しい子も唸るし、追いかけ回されるから蓮くんも動物を避けている。
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