桜が舞い、君に出逢う。
次の日も、その次の日も、花恋ちゃんから蓮くんの話をされることはなかった。

そんなに話せない話なの?

それならどうして花恋ちゃんが知ってるんだろう。

あ、でも希空ちゃんも怒ったような顔をしていたし、希空ちゃんも知ってるのかな。

それじゃあ花陽ちゃんや美緒ちゃんも…?

多分、花恋ちゃんはもう話してくれない。

希空ちゃんは絶対話してくれない。

じゃあ花陽ちゃんと美緒ちゃんは?

…聞いてみよう、そうじゃないと気になってしょうがない。

善は急げと花陽ちゃんの部屋をノックする。

「はーい!」

勢いよく扉が開けられて、花陽ちゃんが勢いのあまり飛び込む。

「わぷっ、ごめんね!…あ、つむちゃんか!」

私の姿を見て、にこーっと笑う花陽ちゃん。

元々用意していた髪を出して、花陽ちゃんに問いかける。

『急にごめんね。突然なんだけど私が知らない蓮くんの話、知ってたりする?』

花陽ちゃんは考えていることがすぐ顔に出るから、何か知っていれば顔に出ると思っていたのに。

花陽ちゃんはいつもと同じケロッとしたような顔をして、こう言った。

「え、何それ?全然知らないよ〜!つむちゃんが知らないようなこと私が知ってるわけないもん!」

『そっか、ありがとう』

ペンで書き足して、自分の部屋に戻った。

あの反応から察するに、花陽ちゃんは知らない…?

そして花恋ちゃんと希空ちゃんが知ってる…

どうして?

あとは、美緒ちゃんに聞くしかない。
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