桜が舞い、君に出逢う。
2人でショッピングモールを歩きながら、少しおかしな話をしてる。

「でもこれは…結城が受け入れるしかないよな。」

「…うん。全部、私が悪いんだよ。私が聞きたくて聞いた話を、勝手に私が怖がって避けてるだけだもん。」

「それがわかってるなら尚更、なんで実行しねぇの?」

「…」

全部全部わかってる。私が悪いし、私が受け入れさえいい話。

でも…

「あー、悪い悪い。俺説教とかガラじゃないし。てかまぁ俺がここに連れてきたのって結城を楽しませる為だったし。」

え、そうだったの?

「何か見たいものはある?実用品とか。化粧品とか。」

「あ、それならリップ…見たいかも。」

「化粧とか普段するの?」

「ううん、全然。でも唇は保湿とかのために。」

「まぁ、結城化粧っ気全然ないしな。」

「えー、何それ。悪口?」

冗談交じりにそう言うと、鏑木くんは悪戯っぽく笑った。

リップを買って、カフェに行って少し食べて、鏑木くんが家の近くまで送ってくれた。

家の柵の前、鏑木くんは中に入る私を引き止めてこう言った。

「ねぇ結城。もう先輩のこと何とも思ってないならさ…」

一旦言葉を区切り、鏑木くんはこう言った。

「俺が狙ってもいい?」
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